記事を書くために取材をするようになり、鹿児島には、すてきなお取り組みをされている方がたくさんいらっしゃることを知りました。
今回、取材をさせていただいたのは、“活躍系デイサービス”LLさねかたの代表をされている、水口義夫さん。社会福祉士として、さまざまなことに取り組まれています。
「活躍系デイサービスとは、なんぞや?」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。わたしも疑問に思った一人です。水口さんの目指す「豊かなまちづくり」とは、どういうものなのか。同じ社会福祉士を持つ、ライターの上村がお話をたっぷりお伺いしてきました!
かごしま地域見守りネットワーク『みま〜も・かごしま』
水口さんは、社会人になってから「社会福祉士」を取得したそうです。高齢者施設で働きながら、鹿児島医療介護塾やみま〜も・かごしまなどの立ち上げに携わっていったとのこと。
「みま〜も」とは、高齢者が安心して暮らせる街づくりのために、地域の医療・福祉・介護の専門職が活動している地域見守りネットワークです。東京都大田区から発足しました。平成20年4月に12名の福祉専門職と地元の老舗百貨店であるダイシン百貨店の社員3名で始めたとホームページに記載していました。
水口さんは、鹿児島医療介護塾勉強会のセミナー講師として、「みま〜も」発起人である澤登久雄さんと出会い、みま〜もの考え方やあり方に、とても感銘を受けたそうです。そして、2017年に「みま〜も・かごしま」を立ち上げました。
みま〜も・かごしまの理念は、“「医療、介護、福祉の専門職と地域住民が連携し、子どもから高齢者までお互いが見守りあいながら、安心して、楽しく、生きがい(役割、存在意義)を持って暮らし続けることのできるまちづくりを目指します。」”です。
活動内容は、「終活」や「認知症」等についてのお話や、いつまでも楽しく外出するための講義をしたり、介護予防活動やミニ講座などをされています。
他にも、毎年11月23日には「地域丸ごと見守り訓練」が開催されています。近年、行方不明の方が増えていることから、啓蒙活動の一環として行っているとのこと。どなたでも参加ができます。地域消防団の方や民生委員の方々はじめ、コミュニティ協議会のメンバーの方々も参加されているそうです。
悩みを抱えた人が地域で孤立をしないために
みま〜も・かごしまの活動拠点は、空き家になったメンバーのご実家。「悩みを抱えた人は、地域で孤立しがち。地域や専門職とつながり、前に進める場になれば」という思いから、2019年6月から「みも〜もカフェかっちゃん邸郡元」がはじまりました。
みま〜もカフェかっちゃん邸郡元の象徴的な今も元気な95歳の善ちゃん (右)と水口さん(左)。
カフェ以外にも、地域の方々が活躍するイベント「みま〜もコミュニティ市場」を定期的に開催していくことで、多世代交流ができる場となっていきました。
しかし、コロナ禍に突入してしまい、思うように活動ができない日々が……。感染対策をしつつ、試行錯誤をしながらできるイベントを行っていったそうです。たとえば、和田にある妙行寺の井上ご住職による、出張除夜の鐘。このようなスポットイベントやオンラインイベントを開催していきました。
現在は、月曜と水曜、金曜に「しののめフリースクール」が、みま〜もカフェかっちゃん邸を活用しています。
山の中にある“活躍系デイサービス”
高齢者施設で働きながら、「みま〜も・かごしま」の副代表として活動をされてきた水口さんは、独立することに決めました。独立をするとともに、「みま〜も・かごしま」の代表へ。
みま〜も・かごしまの次なる拠点として、2021年4月1日に「LLさねかた」をオープンしました。「今までとは違うデイサービスがしたい」という思いがあり、山の中に“活躍系デイサービス”をつくりました。LLとは、ライフラボラトリーの略で、目の前の方の人生が輝くためのお手伝いをすることをミッションとしています。
広大な敷地があるからこそ、豊かな体験がたくさんできます。年末に、敷地内にある竹を使って門松づくり。
春には、デイサービスの敷地内での花見。
ただデイサービスの室内で過ごすだけでなく、屋外に出て自分たちの手や体を動かしていく活動。まさに、活躍系デイサービスですね。
他にも、ご近所のお一人暮らしの方が庭の雑木処理に困っている時には、精鋭メンバーでお手伝いに行ったりもするそうです。地域の方々との交流を積極的にしていくデイサービスは、なんだか良いですよね。
多世代交流ができる“豊かなまちづくり”を目指して
同じ社会福祉士を持つ者として、水口さんの今後の展開が気になり、お伺いしました。
多世代交流、地域活動の強化、次の拠点画策等を次のステップとして、「《“豊かなまちづくり”の理想形:LLタウン構想》を実現していきたい」とのことでした。
実は、LLさねかたでは、すでに多世代交流を実現しています。先日、しののめフリースクールの子ども達と一緒に、たけのこ掘りをしたり、焼き芋をして楽しまれたそうです。今まで培ってきた経験や知恵を、子ども達に伝えていく。わたしもまちづくりに、いくつか携わってきましたが、理想とするところでした。それを実現されていて、本当にすごいなと感じました。
他にも、新たなるデイサービスの立ち上げのために、すでに動いているそうですよ! どのようなデイサービスになるのか、楽しみですよね。
高齢化社会が進むにつれ、高齢者の独居率が高まってきています。そして、地域の人々の関係性が薄れていくにつれ、孤独死をされる方も増えてきています。
世代を超えて交流をしていくことで、解決できる社会問題があるかもしれません。“まち”は、住んでいる人たちがつくりあげていくものだと思っています。困った人がいたら、助け、支え合う。そして、一人ひとりが自分のできることで、生きがいを感じながら生きていける。そんな“まち”が増えていったら良いなと思っています。
こちらの記事では詳しく説明ができませんでしたが、水口さんは、「さねかたオレンジカフェ」の運営もしています。お話会やまちの保健室という活動をされていますので、お困りごとがありましたら、お気軽に相談されてみてくださいね。
【スケジュール】
5/19(日)13:00~15:00
6/16(日)13:00~15:00
7/21(日)13:00~15:00
開催場所:LLさねかた(鹿児島市吉野町451-1)
お問い合わせ先:099-213-9490
投稿者プロフィール
- ヨガインストラクター×ライター。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクターです。その人に合ったレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、美味しいものを食べること。ライターとして鹿児島のいろいろなことをを発信していけたらと思います。
この著者の最新の投稿
- 2024年11月11日垂水市【鹿児島黒牛】こだわり抜いた餌で経産牛を育てている「室田牧場」
- 2024年10月21日鹿児島市エリア栄養士・管理栄養士が横のつながりをつくり、新たなチャレンジができるコミュニティ「栄縁」
- 2024年10月16日コラム薩摩ボタン絵付け師 室田志保さんの挑戦!
- 2024年9月26日垂水市鹿児島県民には知っててほしい! 「薩摩ボタン」の復活までの道のり