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メタバースの歩き方(後編)

 前回ではヒーロー系VTuber紅蓮グレイから表現者としての立場からメタバースの利用状況をお伺いしました。
 今回はものづくり系動画制作者の蒼さんへメタバースについてのお話しを伺います。

ものづくり系動画制作者『蒼』さんの場合

ーーメタバースと関わりのない人間としては、昔だったら掲示板があったりとか、チャットルームがあったりとかっていう感じで文章ベースで事が終わってしまうのですが、メタバースに入る際のアバターを作ってそこからまた移動して話しかけた人の近くに行って…というこの手間が非常に面倒だなっていうのを感じるんですよ。
 そこら辺は皆さんどう考えてらっしゃいますか?

 メタバースに来るひとつのハードルが、確かにアバターと呼ばれる自分の見た目を整えることが、ハードルに感じていらっしゃる方が結構います。
 そこでいわゆるよく聞くVRChatとかはですね、そこのハードル(アバターを制作する事)がめちゃくちゃ高いんですけど、クラスターはそこのハードルが比較的低いです。
 というのは、ログインしただけの状態でも公式が用意してくれてるアバターが4つかな。ロボットアバターと男2種類、女の子2種類のアバターがあるので、非常に楽チンですし。
 Clusterに持ち込めるVRMという形式にするのも、今簡単に作れるソフトがたくさん出てきてます。なのでそこのハードルは比較的低いかなと思います。

ーーなるほどですね。その情報までの到達地点が、そのメタバース系にあまり携わらない人間としてちょっと手間だなとは感じているのですが、今Clusterを楽しんでいる方はそのアバター作りから楽しんでるっていう考えで良いんですかね

 そうですね。まぁいろんな方がいらっしゃいます。
 『アバターをより複雑で綺麗なものに仕上げる』ことを楽しみにしてる方もいらっしゃれば、私はこっちのタイプなんですけど、『アバターは簡素なもので良いのでお喋りとかライブとかを楽しむ』という人がいらっしゃいます。
 ちょっと質問からさらにちょっと突っ込んだ話になるんですけど、なぜわざわざその面倒くさいことをしてアバターをわざわざ作ってメタバースに来るかという話なんですけど。
 BBSとかチャットルームみたいな、文字だけのコミュニケーションに比べて、できることが圧倒的に多いっていうのと、その場にいる感覚。友達の家に行ってお喋りする感覚みたいなのがあるっていうのが1つ大きなところかなと思います。
 チャットだけだと、顔が見えない・表情もわからない・声色もわからないから、相手が例えば笑ってる…笑ってるとか怒ってるみたいなことを文字で表現したときにそれが本当かどうかってよくわからないじゃないですか。実際に会話することも文字だけだとやっぱりその情報量が違う。
 なんて言うんだろうな、会話の温度感みたいなものがやっぱ伝わってこなかったりするんですけど、簡素なアバターでも良いので肉体を持ってメタバースに入るとそこら辺の温度感が伝わりやすいかな、というメリットは日々感じてます。

ーーそうなんですね。この話はちょっとここまでにして、メタバース系の楽しみ方って、何かしらおすすめポイントがあったらできたら、1つ2つ教えていただければありがたいです。

 メタバース…、最終的にみんなが表現者になることを、まぁこのClusterでは推奨してるような雰囲気を感じます。
 何かというとですね、私この間「スマホ仮面」っていう作品の上映会を映画館ワールドでやらせていただいたんですけども、イベントを開いてユーザーが集まってきて他のみんなと楽しむということをこのClusterでは最終目標に設定してる感じがあります。
 ただ、いきなり誰もがイベント開けるわけじゃないんですよ。
 イベントって結構やっぱ1人だと開くの大変で、イベントをセッティングして、まずそもそもイベントを開くっていう行為と、あとシーンの切り替え…なんて言うんでしょ。演劇で言うと…

ーー場面の切り替えとか、舞台の切り替えとか。

 舞台の切り替えみたいな事をやる人も必要ですし、カメラマンも必要ですし。
 もしそれをYouTubeとかでCluster以外のところで配信するってなると配信カメラマンも必要ですし。
 あとはあれですね。結構いろんな方がいらっしゃるので、大声出して暴れちゃっ…あの、走り回っちゃったりするような人はちょっと会場警備の人が誘導する必要があったり、ということでですね。
 なかなか1人だとイベントってできないんですよ。
 なので流れとしては、3段階あると思ってて。
 3段階目がその自分でイベントを開いてみんなで楽しく過ごすっていうことだとすると、第1段階目はまず参加者として参加する事だと思っています。
 とにかくこのClusterという地に降り立って、いろんなイベントに参加してみましょうよというところが1段階目だと思ってます。
 で、第2段階目がお友達とかが主催していたらお手伝いとして参加する。
 さっき言った配信カメラマンだったり、会場警備だったり、音声さんとかね。
 何か役割を持って、お手伝いするっていうところが第2段階目かなと思います。
 最初はまあ普通の人として、何かコミュニティに関わって、そこからだんだん何か役割を与えられたり自分でやったりして最終的に主催の方になっていくというのが流れかなと思います。

ーー意外と地方にいると創作活動なりしてて、なかなか周りと協調が取れないとか、意識が違ったりとかして孤独になってしまうって方も多々あるっていう感じなんですけれども、そこら辺はまたClusterなりメタバースの世界にちょっと入り込んで同好の士なりを見つけられるっていう考えでも構わないのでしょうか?

 はい、よろしいかと思います。
 メタバースのメリット、1番のメリットが移動コストがかからないことなんですよ。
 インターネットに繋がっていれば誰でもすぐメタバースに来れる。で、何かイベントをやったりするときも、今DISCORDとか通話したりやり取りしたり、裏方で情報をやり取りできるツールもたくさんあるのでとにかく家にいても人と繋がれるってのはメタバースの大きいところかなと思います。
 やっぱりBBSとか、チャットルームとかとの違いは、1つのイベントを成功させるっていう目的に向かってみんなで協力するっていうことができるとか。
 で、それが楽しい。
 だからあれですよね。文化祭の準備。
 みんなで文化祭を準備するみたいなイメージが1番近いかなと思います。


 ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/user/633473/mylist/16446334?sortKey=viewCount&sortOrder=desc
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取材後記

 ものづくりというのは基本的に1人でするもので孤独な作業が続くものですが、メタバースの中に共同で何かを作り上げる仲間を見つけられた事で生活に新たな彩りが出てきた例と言って良いのではないでしょうか?
 新しい仲間づくりにメタバースを巡ってみるのも面白いかもしれませんね。

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)