鹿児島には黒牛・黒豚・桜島小みかんなど食に関する特産品が多いところですが、お茶に関しても産出量が全国2位という国内においての一大産地だったりします。
今回、鹿児島県立短期大学のお茶育研究会で顧問をしていらっしゃる木下先生に「鹿児島県内の一部で伝えられてきた、非常にレアなお茶がある」という事を聞きましたので、お話しを伺ってきました。
鹿児島県の一部地域のみに古くから伝わる『はんず茶』とは?
『はんず茶』とは漢字で『半胴茶』と書き、旧松元町・旧伊集院町周辺でのみ伝承されている水瓶で茶葉を炒って作るお茶を言います。
現在ではお茶と言えば煎茶ですが、江戸時代では釜でお茶の葉を炒って作る釜炒り茶が主でした。1738年に京都の宇治で煎茶が開発され、明治時代以後、国内外に向けて煎茶の生産が伸びていきますが、自家用に庭先に植えたお茶の木から釜炒り茶が作り続けられていたそうです。『はんず茶』も各家庭で伝承されてきましたが、今では作る人が数名となってしまいました。
今回の取材では試飲ができなかったのですが、一度味わってみたいお茶です。
意外に多い!?全国にある変わり種のお茶
今回の『はんず茶』の記事を書く上で他に変わり種のお茶はないのか?と調べてみたところ、お隣宮崎県には竹筒を使って作る『カッポ茶』があったり、高知県の『碁石茶』や富山県『バタバタ茶』の様にお茶を発酵させる物があったりと『お茶』文化の奥深さを感じます。
鹿児島県枕崎だと茶節ってのもありますね。似た様な発想だと島根県には『ぼてぼて茶』という物があるそうです。
『はんず茶』の疑問点
旧松元町・旧伊集院町周辺でのみ伝承されてきた『はんず茶』ですが、なぜ局地的に伝承されてきたのか?という疑問が生じます。
近くに薩摩焼の生産で有名な美山がある事が理由として考えられていますが、であれば、なぜ同じ薩摩藩内にも関わらず黒酢を作っていて近くに龍門寺焼きの釜がある霧島地区に伝承されなかったのか?という疑問が残ります。
食文化というのはその風土により変化していくものなので、ひょっとしたらこの土地で『はんず茶』を作る意味があるのかもしれませんね。
お茶文化の振興に寄与する鹿児島県短期大学『お茶育研究会』
鹿児島県短期大学のお茶育研究会は木下先生を通じて約10年前から記事を書かせていただく機会があります。
お茶の研究会と言えば、単にお茶のテイスティングをするだけのイメージがありますが、ここではお茶の葉を使った料理製作から食育に取り組んだり、今回のはんず茶の様に民俗学に踏み込む様な活動もしており、全国的に見ても非常に面白い活動をしているところだと思います。
2015年には大手コンビニチェーンとコラボしてお茶のスイーツを発売した事もありました。
お茶に関係する企業・団体には良い刺激があると思いますので、ぜひ交流していただきたい学生サークルです。
鹿児島県短期大学『お茶育研究会』
Instagram:https://www.instagram.com/ochaikuken
【イベント情報】
第2回まつもとまるっとマルシェ
日時:2024年11月10日(日)10:00~15:00
実施内容:はんず茶の実演と試飲
詳細ページ:https://www.city.kagoshima.lg.jp/shimin/matumoto/soum/event/documents/202410flyer.pdf
投稿者プロフィール
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クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)
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