離島で暮らしているって人に話すと、「のんびりしていて良いよね」「スローライフでうらやましい」といわれることがたくさんあります。わたしは鹿児島市から三島村竹島に移住して10年経ちますが、はっきりいってスローライフだと思ったことはただの一度もありません。何なら鹿児島市に住んでいたときよりも忙しい!全然スローじゃない離島暮らしのホントをお伝えします。
そもそもスローライフとは?
スローライフとは、時間や効率にとらわれず、自分のペースでのんびりと質の高い暮らしを楽しみながら送ることを意味します。これに加えて、自然環境に配慮したとか、丁寧にとか、利便性や物質の豊かさ以外に価値観を見いだすなどといった意味合いを含む場合もあるようです。
「離島暮らしはスローライフである」という定義がいつから世間に浸透していったのかは不明ですが、誰が一番最初に言いだしたんでしょうね笑。たぶん、島に暮らしている人でないことだけは確かだと思います。
都会のせわしない生活に疲れて、離島でスローライフを送りたいと島暮らしにあこがれを抱いている人は少なくないようですが、個人的にはあまり良い風潮だとは思っていません。
島暮らしにあこがれている人が実際に島に住み始めてリアリティショックを受けて島を出てしまうのはやはり悲しいので、離島暮らしがスローライフではない理由についてくわしく紹介します。
なお、これはあくまで三島村竹島の話なので他の離島とは異なる部分もあると思いますが、悪しからず。
三島村竹島の暮らしがスローライフじゃない理由
わたしが住んでいる三島村竹島は、鹿児島市からフェリーで3時間。世帯数は36、人口は50人です。(令和6年10月現在)
鹿児島市から移住して10年ほど経ちますが、「のんびり」過ごせたと感じたのは、台風で停電していた日くらいではないかと思います…。三島村竹島の暮らしがスローライフではない理由について紹介します。
人口減少で一人一役では島の運営が成り立たない
離島を含むいわゆる田舎で暮らすと、さまざまな団体に所属することになる場合が多いです。
例えば、竹島の場合には
- 地区会
- 婦人会
- 老人会
- 青年会
- 子ども会
- 消防団
などがあります。
それぞれに運営管理をしたり、会計をしたりする役員がおかれます。
ひとつの団体に所属すれば良いというわけではなく、ひとりでいくつもの団体に所属する人がほとんど。また、そのなかで役員を兼任することも普通にあります。
ちなみにわたしは老人会と消防団以外に所属していますし、婦人会と子ども会では役員も兼任です。
そして各団体にはさまざまな役割があります。
婦人会は当番制で老人へお弁当を作ったり、地区の行事で食事の準備をしたり。青年会はゴミ処理や文化財の清掃活動、夏祭りなどのイベントの運営をしたり。子ども会は毎月空き缶回収をしたり、季節ごとにイベントを実施したり。
これらはほとんどの場合週末に行われるため、基本的に土日のうちどちらかは何かしらの用事が入ります。午前、午後、夜と別の用事が立て続けに入ることも。年末や年度末になると、ほぼ週末の自分時間はありません。
スケジュールが船便や天気に縛られる
竹島へのアクセスは、村営船・みしまのみ。船が来ると港に荷物を取りにいかなければならないので、日々のスケジュールは船の時間が軸になります。
また、鹿児島に行きたい場合は船のスケジュールに合わせて日程を決める必要があります。
天気が悪く海が時化ると船が欠航になる可能性もあるため、どうしても外せない用事があれば予定より早い船で鹿児島入りしたり、逆に帰島時に予定を早めて帰らなければならなかったりすることも。
鹿児島へ行く用事ができると、だいたいみんな波予報とにらめっこしています笑。
学校行事は地区民総動員
竹島には小学校と中学校があるのですが、学校が実施するイベントごとは地区総動員で行われます。
入学式や卒業式は保護者だけでなく地区の人も見に行くし、運動会にも地区の人が参加。
うちにはふたり小学生がいるので、たくさんの人に見に来てもらえて一緒に成長を見守ってもらえるのは、とても心強く感じています。
外食ができない
鹿児島市に住んでいると疲れているとき、時間がないときなど、食事を外食ですませることは多いと思いますが、これができないのは地味にキツイ。
Uberなんてもちろんないので、誰かが料理しないとご飯が食べられません。
正直自分ひとりならめんどくさいから食べなくていいか…ってなっても、家族がいるとそういうわけにはいかないので、誰かお総菜屋さん始めてくれないかなと結構本気で願ってます。
三島村竹島の暮らしの魅力はどこにある?
ここまでだいぶネガティブ訴求をしてしまっている気がしますが、スローライフはできなくても、もちろん素敵なところもたくさんあります!
自然が多いとか、魚がおいしいとか、挙げればキリがないけれど、わたしが個人的に感じる離島暮らしの魅力は、世代間を超えた密なコミュニケーションが取れるところだと思っています。
鹿児島市で生活していると、子どもがかかわりを持つ大人って親か学校の先生(しかもオンタイムだけ)くらいですよね。でも、竹島では親や親戚以外の大人と接する機会が本当にたくさんあります。
子どもの頃にいろいろな価値観をもった大人とたくさん接することは、子どもの視野を広げられる良い学びの場ではないかと思います。
大人も同じで、自分の親と同じような世代の人からギリギリ生める20代の若者まで、年齢関係なく話をしたりお酒を飲んだりすれば、自分の知らない世界を知れますし、都会に住んでいるとなかなかない機会なのではないでしょうか。
スローライフは送れないけれど、島暮らしには島だからこその魅力があることを知ってもらえればと思います!
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