1 国分城山から見える不思議な地形
霧島市国分にある「国分城山公園」、地形は標高約190mの平坦な台地を成しており、国分平野、錦江湾、桜島が間近に見える風光明媚な場所です。さらには市街地からも近いことから、市民や観光客の憩いの場所となっています。公園内には展望台をはじめ、観覧車、ゴーカート、屋外ステージ、パターゴルフ場などがあります。ちなみに、ゴーカートのコースは南九州でも屈指の長さ(約1400m)を誇っており、乗り応えのある施設となっています。
公園の北側にあるパターゴルフ場の奥には、霧島連山を見ることができる展望台があります。この展望台から見える景色は、私が国分に移り住んで、また霧島市となって市内各地域を見てまわりましたが、その中でも1、2位を争うのほどの雄大な景色で、私お勧めのビュースポットとなっています。
北には雄大な霧島連山が控え、その前面には西側から吉野台地、十三塚原台地(鹿児島空港)、春山原台地、須川原台地、平野原台地、上野原台地、牧之原台地が続いており、その高さはまるで定規で線を引いたように一直線となっています。
いわゆる、「カルデラ台地」と呼ばれている台地が、錦江湾を囲むように広がっています。
2 カルデラ噴火とは
大規模な噴火活動によって、火山灰、火砕流、軽石、溶岩などの「火山噴出物」が大量に噴出したため地下が空洞化し、地下のマグマ溜まりに落ち込む形で地表が陥没してできたものをカルデラ(スペイン語で釜・鍋)と言い、カルデラを有する噴火活動のことをカルデラ噴火と呼んでいます。
姶良カルデラは、現在の錦江湾を中心に約3万年前に噴火しました。その後も今日まで噴火活動は続いており、陥没した海底から火山は徐々に発達し、海面に露出、現在では雄大な桜島となっています。つまり、桜島は姶良カルデラの子どもってことになりますね。
この噴火の規模を一言で言えば「破滅型」ではないでしょうか。
これは、あくまでも私見で、ちょっと脅かすようですが、現在、同規模の噴火が起きれば、少なくとも南九州は一瞬で壊滅しますし、風向きにも因りますがおそらく九州全域が数メートルの火山灰に覆われるのではないか思われます。
その根拠として、3万年前の姶良カルデラ起源の火山灰の層が、中国地方で20㌢、東北地方でも5㌢確認されています。おそらく、当時はこの数倍もの火山灰が積もったと思われます。
このような状況では、火山噴火による直接的な被害よりも、降灰による2次的被害(停電、交通機関の機能停止、軽石の海面浮上による船舶の航行不能、食料不足、降雨による土石流の発生など)が日本国中で発生する可能性があります。
この噴火活動は国内の被害だけでなく、地球的な規模で影響が起こります。大量の火山灰が地球を覆い、気候変動(地球の寒冷化)に繋がると予想されます。20世紀では最大規模(姶良カルデラの数百分の1)と言われるフィリピンのピナトゥボ火山の噴火によって、その2年後の1993年に日本は大冷夏となり、コメ不足が生じました。日本米が不足してタイ米を食べたことを記憶している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このような大規模な噴火活動は、数万年に1回の割合で起こる現象ですし、これくらいの規模の噴火活動となりますと前兆現象も確認できますので、事前に避難できますので安心してください。(東京方面はダメですよ!火山灰が追っかけてきますから。)
ちなみに、大正3年に起きた桜島噴火でも、噴火前に井戸の水が沸騰し始めた、などの現象が見られたようです。
3 カルデラ台地
霧島市に広がるカルデラ台地は、主に錦江湾を起源とする「姶良カルデラ」の噴出物によって形成されています。その主な構成物は「入戸火砕流」と呼ばれている火山灰で、一般的には「シラス」と言った方が通じるのではないでしょうか。
この噴火活動によって、南九州の地形は一変しました。
当然、噴火前の地形も現在の地形と同様に、山や台地、谷、盆地、平野などの地形がありました。そこに、超巨大噴火によって火砕流が発生し、当時の地形(現在の標高270m付近まで)を全て覆い隠しました。
噴火直後は、吉野から牧之原まで延々と広がる平坦な一つの台地だったと思われます。その後、降雨や川の流水によって浸食され、谷間を形成し、谷間にあった火山灰が錦江湾まで流され、国分平野や加治木・姶良平野を形成していきました。侵食を免れた台地の頂上部が平坦で均一に見えるのはこのためです。
私たちが現在見ている地形のほとんどは、僅か3万年の間に形成されたことになりますし、国分城山公園から一直線に見える「不思議な地形」はこのような歴史を物語っています。
写真:著者撮影、霧島市提供
文責:鈴木
投稿者プロフィール
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霧島市に在住しています。
読書とボウリングが趣味です。
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