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美しい自然が残る「限界集落」の挑戦

こんにちは。慶應義塾大学SFC研究所上席所員の折田です。

日本中で問題になっている人口減少
総務省が発表した日本の総人口推計によると、前年比64万4000人(0・51%)減の1億2550万2000人となり、減少幅は過去最大だったそうです。

千葉県・船橋市の人口が644,682人
鹿児島県・鹿児島市の人口が593,000人
1年間で、これらの都市の人口がいなくなったと想像すると、いかに日本における人口減少が深刻な状況にあるかが分かるかと思います。

特に鹿児島県は、離島・中山間地域を多く抱えており、人口減少による社会課題が極めて深刻な地域でもあります。

日本各地で消滅しかかっている限界集落が多数見られる中、鹿児島県の福山町の「佳例川地区」では、新しい取り組みが始まっています。

廃校になった佳例川小学校を調査する福山高校の生徒たち

あの「地域魅力化」に取り組むことで有名な鹿児島県立福山高校の「福山みらい創業塾」も関わっています。

自分達のスマホで記録を残す「BYOD」で学習を進める様子

この集落は、国道10号線から奥に入った場所にあります。
分かりにくい場所にあるため、なかなか存在に気づかれない地域でもありますが、逆にそれにより手付かずの美しい自然が残っています。

梅雨の時期はホタルが美しい光を放って飛び回り、秋になると色鮮やかな紅葉を見ることもできます。

美しい自然を動画撮影している様子
佳例川小学校の運動場

廃校になってしまった学校も、今も地元の方が綺麗に整備をされています。

湧き水を使って整備された人口の滝
水の流れる音が心地よい「名前のない滝」

太平洋まで流れる一級河川の大淀川や菱田川は、ここの佳例川が源流となっており、透き通った水が流れています。
湧き水を使った人口の滝や、散策しないと気付かない自然の滝など、自然をたっぷりと感じる環境があります。

また、自然だけでなく歴史ある場所でもあります。

福山総合支所長から飯冨神社の歴史について説明を聞く生徒たち
西南の役140周年記念事業の看板
指定文化財の天然記念物「佳例川のふじ」を紹介する看板

西南の役の「刀傷跡」を示す標識柱

西南の役で野戦病院として使われた民家
今も残る「刀傷跡」の説明を聞く生徒たちの様子
幻の芋焼酎「蔓無源氏」を民家で販売する焼酎屋の店主の話を聞く様子
佳例川公民館から集落の取り組みや歴史を聞く様子

このように、福山高校の「福山みらい創業塾」に関わる生徒たちが、限界集落の魅力を地元の人々と一緒になって調査し課題を発見・解決する方法を考えることは、次世代の教育の在り方でもあります。

また、トヨタ車体研究所の協力を経て「トヨタ流改善方式」を使って、地域の課題を発見・解決することも福山高校の次世代教育の特徴になっています。

地域の人々の想いを、若い人々が引き継いで、素敵な地域の未来が訪れることを願ってやみません。

投稿者プロフィール

orita慶應義塾大学SFC研究所上席所員
慶應義塾大学SFC研究所で上席所員として研究者と一緒に未来の教育を研究しています。
同時に鹿児島県立福山高等学校で「福山みらい創業塾」というプロジェクトに関わっています。
このカゴシマガジンでは、主に「教育改革・地域魅力化・産官学連携」について書いていきます。