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『薩摩甲冑隊』甲冑着用の作法

 2020年に黎明館に復元された鶴丸城御楼門の前に甲冑姿の門番が立っている姿をご覧になった方は少なくないと思います。
 この門番をボランティアでやっているのは鹿児島市を拠点に結成された『薩摩甲冑隊』の皆さんです。
 『薩摩甲冑隊』は立ち振る舞いや着付けにおいて薩摩ならではのこだわりがあり、それを実践している珍しいグループでもあったりします。
 今回はそのこだわりについてのお話しを『薩摩甲冑隊』隊長 若松 宏 さんにちょっとだけお伺い致しました。

薩摩甲冑隊隊長 若松 宏 さん

兜の緒

 よく顎の下で一回結ぶ方がいらっしゃいますが、行動中に首を吊ってしまう可能性がある為、ただ交差させるだけ。それを顎の嚙み合わせの部分から折り返して下唇の下で結ぶのですが、これも本結びの結びが逆に入ってしまうと見苦しくなるので、きれいに本結びをします。

 鎧の着用体験で顎の下で蝶結びにしているところがありますが、蝶結びだとぐら付いてしまい兜が落ちてしまいます。その様な状態では戦えないのでしっかりと顎の下と上で兜を保持します。

 更に兜の保持を強くする為にこめかみの当たりへ『忍び緒』という結び目を作るのですが、休憩時間等、兜を取る機会が多い為、現在では残りの緒を耳の後ろに流すだけにしています。

刀のこより

 薩摩では元服前の子供でも脇差を懐刀として与えられ手入れの仕方や魂の入れ方を習っていました。
 しかし薩摩では大人子供関係なく私闘において簡単に刀を抜いたら死罪となります。
 その為、和紙で作ったこよりを鞘と鍔または柄に結び、刀を抜く前に「こんな事で刀を抜いて良いのか?」と自問自答する為に『こよりを切る』という安全装置を付けたのが由来です。

胴のサラシ

昭和7年妙円寺詣りの写真(学校法人 共立学舎 125年記念誌 より)

 薩摩の甲冑の着付けには、サラシを腹に一反巻き(約10cm幅)、最初と最後を練り上げ注連縄にしてぶら下げ、魔除け厄除けの着付けを江戸時代からしてます。
 サラシが腰で甲冑を支え、肩に負担を掛けず闘え、包帯や紐・ロープ、鼻緒や糸、褌にも成ります。

紐の処理

 前で結んでいると結び目が何かに引っ掛かった時に解けてしまい装備が崩れてしまうので、後ろに結んで紐の端末は見えないところに仕舞い込んでいます。
 一瞬の隙が命取りになる戦国時代から伝わる結び方の考えになります。

薩摩甲冑隊では隊員募集中です

 いかがでしたでしょうか?
 紐の結び方1つにも先人たちの考えがあり、それを細かく踏襲している甲冑グループは全国を見ても珍しい様に感じます。

 そんな薩摩甲冑隊ですが、現在、一緒に活動していただける隊員を募集中です。
 御楼門で行っている門番ボランティアを始め、様々な催し物や行事に出陣予定。甲冑を持っていない方も貸し出す事が可能です。
 老若男女問いません。
 「ありがとう」と言われるこの活動に参加してみませんか?
 お問い合わせは下記の連絡先へお願いします。

『薩摩甲冑隊』
お問い合わせ:西郷隆盛銅像展望ホールK10カフェ
TEL:099-295-4189

稚児鎧の着付けもやっています

 隊長が運営している「西郷隆盛銅像展望ホールK10カフェ」では子供用の鎧の着付けもやっております。
 お子さんとの思い出作りにいかがでしょうか?

【 稚児鎧着付け体験 】
2歳~7歳の総鎧(着付け5分、脱1分)
7歳~10歳の総鎧(着付け15分、脱5分)
10歳以上は大将鎧の兜・陣傘・烏帽子、陣羽織、陣太刀(着脱5分)

西郷隆盛銅像前 1,000円
御楼門前 2,000円 (店を閉店して行く為)

付添子供:鉢巻き・陣羽織 500円
付添大人:フリードリンク代 500円

※甲冑の着付けや各々の意味等々を説明解説します。

西郷隆盛銅像展望ホールK10カフェ 稚児鎧着付け体験資料より

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)