はじめまして。沖永良部で子供たちが参加するミュージカル劇の事務局を担当しています、長野と申します。来る8月に本公演を迎えるこの劇団の活動の様子を、これから、この場をお借りしてお伝えして参ります。第1回の今回は、まず、この作品の生い立ちについて、お話しをさせてください。
2011年、知名町文化ホールあしびの郷・ちなの開館10周年の記念事業として産声を上げた町民創作ミュージカル「えらぶ百合物語」は昨年、誕生からちょうど10年を迎えました。初演当時、島内に大きな反響を呼び、3度に渡る再演を果たしましたが、「島民創作ミュージカル」と名前を改めて上演された第3回公演を最後に活動を休止していました。
2017年。初演当時子役として出演していた小学生だった子供たちが高校生となり「大好きなミュージカルをもう一度上演させてください」と知名町に要望。子供たちの声に応える形で2018年8月に、待望の再演を果たしました。
この作品の脚本、演出を手掛けるのは、毎年 鹿屋市文化会館で上演されている高校生ミュージカル「ヒメとヒコ」を手掛ける松永太郎氏。子供も保護者も、愛情と尊敬を込めて「太郎さん」と呼んでいます。11年前、知名町から沖永良部をテーマにしたミュージカル作品の制作を依頼された太郎さんが、島をめぐり、島の歴史をたどり、島の言葉を調べ、島の人々と触れ合う中でたどり着いたのが、島の特産品である「えらぶゆり」の誕生にまつわる伝説でした。
明治半ば、難破船から漂着した一人の外国人男性が、島の農民に命を救われます。「この島の野に咲く百合の球根を育てなさい。必ず私が買い取りに戻ってきます」こう言い残して島を去った男性と、その言葉を信じて球根を栽培した農民。数年後、その言葉通り、男性は再び島を訪れ、農民が驚くような高値で球根を買い付けたといいます。実際に当時の難破船などの記録を調べてみると、どうもこの言い伝えはあくまでフィクションである可能性が高いとの事ですが、島の人々に大切に語り継がれてきたこの物語をモチーフに、太郎さんは、時を超えた壮大な恋愛小説を書きあげました。「この作品の中に込めたのは、私(太郎さん)自身の島の皆さんへの愛情と尊敬、そして感謝の思いです」と語る太郎さん。
2017年に、知名町の担当者からこの作品を再演したいと相談を受けた時、何の迷いもなく「やりましょう」と即答したとのこと。「あの時は本当にうれしかった」と当時を振り返りながら語る太郎さん。
そんな太郎さんの思いと、子供たちのミュージカルへの思いが重なって、2018公演もホール全体が感動の渦に巻き込まれ、大好評のうちに幕を閉じました。
その後、翌年2019年の再演を最後に作品は知名町の手を離れ、保護者を中心として結成した後援会百合の会に運営が引き継がれました。心機一転、新たな気持ちで子供たちと一丸となって、公演を守り続けていこうと活動を始めた矢先に訪れたコロナ禍。相次ぐ練習の休止。予定していた出演のキャンセル。本番の延期、そして中止…。この2年間子供たちが積み重ねてきた、沢山の悔しい思い、そしてそれでもあきらめずに続けてきた練習の成果、舞台への憧れ…そんな思いのすべてを込めて、現在、みんなで一丸となって実現を目指しているのが、8月の本公演なのです。
さて、次回からは、その子供たちの日々がんばる様子をお伝えしていこうと思います。どうかお付き合いのほど、よろしくお願い致します。
そしてご興味をお持ちいただいた方は、どうぞ私たちの活動を見守り、応援して頂けましたら幸いです。
島民創作ミュージカルえらぶ百合物語 公式サイト
http://www.erabu.net/storyoferabulily
公式Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCxEKY6WdIeCiZbNduApTdbg
投稿者プロフィール
- 奄美群島南部、沖永良部島に主人と二人で移り住んだのは1999年の夏でした。以来、島でパソコンの何でも屋を営んでおります。現在仕事そっちのけでどっぷりとはまっているのが、島民創作ミュージカル「えらぶ百合物語」の運営のお仕事。この活動を紹介しつつ、時々沖永良部の情報もお伝えしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
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