奄美大島で発祥した大島紬(おおしまつむぎ)ですが、実は世界三大織物のひとつに数えられるのをご存知でしょうか。
フランスの「ゴブラン織」、イランの「ペルシャ絨毯」に並び、着物の女王と言われています。
大島紬の特徴
大島紬は絹100%でしなやかで軽く、シワになりにくい。着崩れや虫食いが起きにくいため孫子の代まで長く使うことができるのが特徴です。
製造工程が非常に多く複数の職人さんが分業で制作するため、完成まで半年~1年の時間を要します。
そうやって作られた大島紬は独特な黒色と繊細な織柄の美しさが評価されています。
製造見学
今回は龍郷町にある大島紬村にて製造見学に参加させていただきました。
ここでは大島紬の製造を行っており、染色から加工までそれぞれの職人さんが同じ敷地内に集まって作業をしています。
まさに職人さんたちの「村」といった感じ。
こんなに各作業場同士が近くて、かつガイドさんが案内してくれる製造見学はなかなか貴重です。
\ちなみに大島紬製造はこんなにたくさんの工程が必要です!/
見学では約25分で園内を一周しながらそれぞれの工程を見て行きます。
泥染め
まずは染色工房で染色について説明を受けました。
大島紬の基本の色は深い黒色です。
この黒色はシャリンバイの樹皮を煮出した汁につけて染め(テーチ木染)、さらに泥土に付ける(泥染め)という工程を80回ほど繰り返すことで出来上がる色となります。
シャリンバイに含まれるタンニンと泥田の鉄分が化学的に結合し、色落ちしない深くて艶のある黒色へと染められていくそうです。
特にこの泥が大事で鉄分を多く含み、かつ、とてもキメが細かくなめらかとのこと!
ここの泥で泥染め体験もすることができます。
加工場
加工場ではそれぞれの工程をそれぞれの職人さんが行っています。
締機(しめばた)では、色を入れたい場所が黒く染まってしまわないように、木綿の糸で絹糸を締めていきます。
この後泥染めをして木綿糸の部分を取り除くと染まっていない白い絹糸が現れるので(部分解)、そこに色を足していきます(摺り込み染色)。
そうして最終的には図面通りの色に染められた絹糸が出来上がるというわけです!
織るための絹糸を作るのにものすごい手間と時間がかかっています。ここからいよいよ織物を織っていきます。
織り
染め終わった絹糸は職人さんの手で丁寧に織り上げられます。
絹糸に図面通りの染色が施されているので縦糸を並べただけで柄が見えてくるのが面白いです。
これに同じく染色された横糸の点と点を合わせるように織ることで綺麗な柄が出るんです。
湿度などの環境も影響してくるので、縦糸と横糸の模様を1本1本調整しながら織るそうです。
とても細かくて根気のいる作業を器用にスイスイこなしていました。
職人さん達はすごいです。
ショップ
こちらの建物はショップとなっており、着物や洋服の展示販売が行われています。
着物以外にもシャツやネクタイ、アクセサリー、バッグや財布等、日常使いできるオリジナル商品の販売もあります。
園内は自然豊か
園内は染料となるシャリンバイの木はもちろん、亜熱帯の植物が沢山生えています。
豊富な自然を求めてルリカケスなどの貴重な野鳥が見られることもあり、バードウォッチングにも最適な場所になっているそうです。
園内の自然も含めて製造見学はとてもおすすめです!
大島紬について何も知らなくてもガイドさんや職人さんがわかりやすく説明してくれるので、見学前より大島紬が身近に感じられるはずです。
そして職人さんの作業を見てから完成された大島紬を見ると、改めてその緻密さと奥深さに圧倒される事でしょう。
とても良い体験でした。
アクセス
国道沿いに大きな看板があるのでわかりやすいです。バス停(大島紬村入口)もこの看板奥に見えています。
名称 | 奄美大島紬村 |
住所 | 894-0411 鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945 |
電話 | 0997-62-3100 |
入館時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 年末年始(12/31、1/1) |
入場料 | 大人500円(税別)(団体割引あり) 子供(小・中学生)200円(税別) ショッピングのみのご利用は無料 |
体験 | ・製造見学 ・泥染め体験 |
Web | http://www.tumugi.co.jp/ |
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