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薩英戦争で使われた偽装砲塔は意外な民具だった!?

 2023年の今年は薩英戦争開戦から160年という事で、鹿児島県姶良市にある姶良市歴史民俗資料館では夏季特別展として『前の浜の戦 薩英戦争』と題し、企画展が開かれています。
 会期は2023年9月24日(日)まで。

薩英戦争とは?

 江戸時代も終盤になる1863年。前年に現・神奈川県横浜市で起こった生麦事件を発端とした薩摩藩とイギリスの争いで、私は今回初めて知ったのですが、鹿児島では「前の浜の戦(イッサ)」と呼ばれていたそうです。

展示の見どころ

 今回の展示で特に私の目を引いた物は、英国船によって破壊された砲塔の代わりに備え付けられた民具の「オデタイ(緒ゆで桶)」と薩英戦争中に現姶良市にあった脇元町方の二才頭が奪い取ったとされる英艦ボートのオールでした。

「オデタイ(緒ゆで桶)」麻類の繊維を取る民具。平釜の上に乗せた麻類の束に被せて使用する。

オデタイ(緒ゆで桶)とは!?

 オデタイとは麻類の繊維を取る為に使われた古民具で、苧(オ)を茹でる桶という意味から名称がきているそうです。
(苧とは?…植物の状態では苧~カラムシ~と呼ばれイラクサ科の多年生植物。南アジアから東アジア地域まで広く分布し、古来より繊維を取る為に栽培されたりもしている。)
 大きさは高さ2.62m、直径65cmととても巨大で、これを英国軍艦の砲撃を受けた鹿児島城下の状況から、機転を利かせて偽装砲台として設置させた日置領主の行動には「人を持って城となす」といった島津家の思想が素晴らしく反映されている様に思えました。

寄託された英艦ボートのオール

 長さ396cmもある上陸用ボートのオール。脇元町方の二才頭が強奪したと伝えられています。
 一触即発の状況が続いていた最中、よくこれだけ状態良く残っていたなと言った感じ。オールの大きさから、いかに大きな上陸用ボートが姶良市近辺に接岸したかが垣間見えます。

今回の展示品や薩英戦争についての説明はボランティアの方が行ってくれました

 急な取材にも関わらず、姶良歴史ボランティア協会の玉利さんに詳しく説明をしていただきました。
 単なる展示だけではなく、しっかりと歴史を学んだ方が説明をして下さるので、歴史の振り返りやお子さんの自由研究の題材として姶良市歴史民俗資料館に訪れてみても良いかと思います。

【 姶良市歴史民俗資料館 】
住所:鹿児島県姶良市東餅田498
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
    毎月25日(土・日曜日は除く)
    年末年始(12月29日~1月3日)
入場料:無料
駐車場台数:15台
TEL:0995-65-1553

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)