昭和52年に知覧町連合青年団内に発足し、40年以上知覧で活動をしている「劇団いぶき」。
先日知り合いに誘われて行った、「鹿児島演劇見本市in南九州市 旅するENGEKI 2023」にて、初めて劇団いぶきの演劇を観ました。
30分という短い時間でしたが、地方あるあるエピソードが詰め込まれており、思わずクスリと笑ってしまう場面も。そして最後には、感動の場面もあり思わず涙してしまいました。
ホールの700席は満席で、どうやら地元の人が多そうな感じがしました。40年以上も活動が続けられてきたのは、地元の人たちに愛され応援されてきたからだと思います。
劇団いぶきの魅力に迫ってみたい!
そんな気持ちがふつふつと湧き上がってきて、初期の段階から携わっている脚本と演出担当の朝隈克博さんにお話をお伺いすることができました。
町民に喜んで欲しい気持ちから発足した「劇団いぶき」
当時は、地方をまわる劇団がいくつもありました。
知覧町連合青年団は、新制作座の「泥かぶら」公演を主催し、町民のみなさんに大変喜ばれたことをきっかけに、自分たちで「劇団いぶき」を約46年前に発足することに決めました。
連合青年団は、毎年「青年文化祭」を主催していたので、そのイベントで演劇を披露していたそうです。そして昭和60年に開催された鹿児島県青年大会演劇部門に、「劇団いぶき」として出場。
その頃から朝隈さんは、作品の脚本と演出担当として携わるようになりました。
なぜ演じる方ではなく、脚本と演出として携わることにしたのか?
学生のときから演劇が好きで、観に行ったり、人気の劇作家つかこうへいさん(62歳没)や野田秀樹さんなどの作品を読んだりしていたそうです。朝隈さんの勤め先が知覧の役場だったこともあり、青年団から「脚本を書いてくれないか」というお声がかかったのが始まりでした。
なんと、青年団に入って初めて脚本を書いたそうですよ!
地域あるあるエピソードを演じることで共感を得られた
最初の頃は、プロの脚本家さんのオマージュ作品としてシナリオを書いていました。しかし、観客から思うような反応は得られなかったと話してくださいました。
「劇団いぶき」はどんな芝居をやるべきなのだろうか…。
模索を繰り返した結果、行き着いた答えが「地域に生きる若者の存在や主張をきちんと表現すること」でした。
劇団いぶきのホームページに記載してある言葉が、全てを物語っています。
演劇は観客がいなければ決して成立しない舞台芸術である。観客の想像力を揺り動かすことができなければ、観客の中に感動の火を熾すことはできない。そして、「劇団いぶき」の観客とは、東京の小劇場にアベックで訪れる若者たちではない。同じ地域にともに生きている人たちこそが観客なのだった。青年団活動自体が地域に生きる若者の創造の場であること、そして自分たちが何者で、誰に芝居をみせるのかという、一番大切なことをそれまで考えもしていなかったのだった。
劇団いぶきホームページより一部抜粋
演じる内容を地域よりにすることで、観客から共感が得られるようになったそうです。
実際にわたしも劇団いぶきの演劇を観たのですが、日常生活の中にあるエピソードだったこともあり、思わず「ある、ある〜!」と共感しました。身近に感じられることを演じたからこそ、根強い地域のファンが増えていったのかもしれません。
所属している役者全員が出演できる脚本
劇団いぶきは、公演の数ヶ月前から週に2回、2時間ほど練習をしています。9月3日(日)に公演を控えているので、実際に練習風景を見学させていただきました。
現在、劇団に所属しているのは41名ほどです。その中でメインとして活動されているのは、22名。
わたしの勝手な演劇のイメージなのですが、選抜された役者さんだけが演じるイメージだったのですが、劇団いぶきは役者全員が出演できる脚本だと話してくださいました。そういうのって、なんだかほっこりしますよね。
役者一人一人がよりよい内容になるようにと、練習のときにはアドリブを入れたりもするそうです。演じた中で「もっとこうした方が良い」と意見を交換することで、より内容が磨かれていくのかもしれません。
劇団員全体でつくりあげていく内容。そして、当日は観客と一緒にさらにつくりあげていく。だからこそ、地域の方に愛されている劇団なのですね。
劇団いぶきは、定期的に自主公演をしています。
団員がチケットを手売りすることで、毎回満席御礼となっているそうです。
次の公演は、9月3日(日)に、みなみホールであります。こちらは自主公演ではないので、お問い合わせは鹿児島県青年団協議会へされてください。
知覧という町で芝居を創り続けていくことこそが、劇団いぶきの挑戦。
今後の活動がますます楽しみですね。
鹿児島県青年団協議会主催
第72回鹿児島県青年大会 特別プログラム
「祭囃子の向こう側 青年大会スペシャルー青年団と奇跡の夜篇」
2023年9月3日(日)14:00(開場13:15)
みなみホール(南日本新聞会館4F)
一般1000円 高校生以下無料
お問い合わせ 鹿児島県青年団協議会 Tel 099-218-1235
◆劇団いぶきホームページ
投稿者プロフィール
- ヨガインストラクター×ライター。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクターです。その人に合ったレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、美味しいものを食べること。ライターとして鹿児島のいろいろなことをを発信していけたらと思います。
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