皆さんは『大石兵六夢物語』というお話しをご存じでしょうか?
赤穂浪士で有名な大石内蔵助の息子がなぜか薩摩にいて、民衆に悪さをしている化け狐を退治するというお話しなのですが、薩摩の三大行事として赤穂浪士の輪読会もある事から、薩摩人の大石内蔵助推しを感じますね。
それは置いておいて、最近の方には赤穂浪士とは関係なしにセイカ食品の兵六餅のCMが馴染み深いのではないでしょうか?
そんな『兵六夢物語』ですが、この舞台が鹿児島市吉野町である事はご存じですか?
今回は『大石兵六夢物語』で地域活性化活動を推進している『特定非営利法人地域サポートよしのねぎぼうず』の理事長 永山惠子さんにお話しを伺ってきました。
ーー活動の切っ掛けを教えて下さい。
私が平成5年から地域のミニコミ情報誌を10年ぐらい作っていたのですが、その時に地域のことを掲載をしたいという中で、郷土の歴史家の方とお会いする機会がありました。神社を載せたりとか、色々する中で、吉野にはこんなお話があるんですよ。『大石兵六夢物語』があるんですよということを聞いたんですね。
当時はそのお話が日常的に語られていなかったし、そのお話しが地域に根付いている感じでもなかったんです。
そんな時に出水市の高尾野町に県の無形文化財で兵六踊りがあると聞きまして、直接現地に行ってみるとお話の内容は吉野を舞台にした、大石兵六夢物語でした。鹿児島全体に兵六の話が知れ渡っていたんですね。
10年間ミニコミ誌を発行した後に、私は人と直接かかわることをしたいなというのがあってNPO法人を立ち上げました。
NPO法人を立ち上げた時に、吉野支所の方達が「吉野で何か特化したことはないのかな?」ということだったので、「実は吉野にはこんなお話があって、何か祭りができたらいいなとずっと思ってたんですよ」というお話をしました。その後、志のある方たちと一緒に兵六夢祭りができないかな?と組織を立ち上げて現在に至ります。
ーー狂言を地域活動に盛り込むのは全国的にも珍しいと思うのですが、その切っ掛けはなんだったのでしょう?
『大石兵六夢物語』の舞台が実は吉野なのに吉野で何にも語られていないっていうのはいかがなものか?という事で、これまでお祭りやウォークラリー・漫画制作などを行ってきましたが、演劇でも表現できないか?という事で取り組みをはじめました。
始めは子供たちに芝居の脚本を書かせて、それをお芝居風に演じるという事を3年ぐらいやりました。中学1年生に書かせて、それを中学生が演じるというのをやったんですけれども、そんな中でも何が良いだろうとずっと思いあぐねていました。
平成17年に立ち上げて何かそういうので表現しないといけないよね。出水郡の高尾野町に兵六踊りがある。吉野はどうやったら良いんだろう?どうやって表現していったら良いんだろう?っていうので、出会ったのが日本伝統芸能狂言だったんです。
兵六のお話も元々狂言じゃないですか。これはひょっとしたらフィットするかなというようなことの中で始めようとしたときに、最初は、大人だけでやるつもりだったのですが、子ども達も取り入れたらとのアドバイスをいただいて、その後子ども達が頑張ってくれています。
兵六のお話を狂言師に新作狂言として書き下ろしてもらって、『新作狂言 吉野兵六どん』として、狐役を全部子供たちで演ずるっていうのが出来上がってきてもう12年なります。
先日も国体のおもてなし公演として、天文館内のセンテラスでこの兵六どんを演じてきました。そういう意味では、兵六のお話が鹿児島の三大民話ということで、鹿児島県内のいろいろな催しにお声掛けいただいているっています。
【取材後記】
今回活動については幅広く教えていただいたのですが、字数の関係もあり内容を1部抜き出して掲載させていただきました。薩摩の民俗文化に関わる話とかも出まして楽しくお話しを伺わせていただいたのですが、これを上手く観光へつなげていきたいですね。
【 特定非営利活動法人 地域サポートよしのねぎぼうず 】
HP:https://negibouzu-kagoshima.jp/
活動内容:地域福祉・地域安心安全・地域文化創造
【 第18回吉野兵六ゆめまつり 】
日時:2023年11月5日(日) 10:20~13:30
場所:吉野公園大芝生広場(鹿児島県鹿児島市吉野町7955)
関連ページ:https://negibouzu-kagoshima.jp/?p=381
※ フリーマーケットの参加者も募集中です。3M×3Mで1区画2000円。
お問い合わせ:吉野兵六会(事務局:よしのねぎぼうす:TEL 099-243-3778)
投稿者プロフィール
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クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)
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