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強力なPR力を秘めているにも関わらず衰退状況の『薩摩』文化

 さつま忍者研究会代表の清永です。
 前回記事にしました『薩摩ホグワーツ』が2023年12月3日時点、イー・ガーディアン株式会社が行う『SNS流行語大賞2023』で8位。ドワンゴとピクシブが共催で行う『ネット流行語100 2023』でノミネート中という状況です。

【イー・ガーディアン株式会社】SNS流行語大賞2023は 『かわちい』 に決定!(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000296.000018759.html

ネット流行語 100 2023
https://site.nicovideo.jp/nettrend100/2023/

 以前、下記の記事で「薩摩の侍文化はその特異性からネットミームの1つとして流行りを作る」事をお話ししました。

 その特異性とは何なのか?
 先日、ある民俗学の先生から鹿児島は「武張る文化である」とお話しがありました。
※今回は記事の内容から匿名でお話しを進めていきます。

鹿児島の『武張る』文化とは?

 全国的には侍の心得として「武士道と言ふは、死ぬ事を見つけたり」という一文が有名な山本常朝の『葉隠』がメジャーですが、薩摩は他藩と違い、武士の比率が藩内全人口の4割を占め、郷で競い合うという性質から独自の侍文化があった様です。

 それに伴いお祭りを作るにしても、元々農民のお祭りだったものが侍を鼓舞する意味に変化したり、江戸時代が終わった後に元々子供の遊びだったものが、やはり侍を鼓舞する為のお祭りだったと後付けされたりと、とにかく武士の文化や歴史に絡めてしまおうという流れがありました。

 私は一時期、鎧の丸武さんのお手伝いで遠くは新潟の謙信公祭で鎧の着付けをしていた経験があるのですが、鎧の着付けにしても下記の記事の様にこれだけ独特の文化やこだわりが残っている地域も珍しいです。
(ひょっとすると他の地域では文化が廃れてしまったのかもしれませんが…)

 郷中教育の一環として行われている薩摩の三大行事は『妙円寺詣り』『赤穂義臣伝輪読会』『曽我どんの傘焼き』で、妙円寺詣りはまだ地元の歴史として分かるのですが、赤穂義臣伝輪読会と曽我どんの傘焼きについては薩摩が関わない歴史を輸入してまでも侍のあり方を教えようとしています。
 それを郷同士で競い合わせていたという話があるので、侍へのこだわりは他国に比べかなり強かったのではないでしょうか?

他県からは異質な文化として見られる

 これを鹿児島の方々は『あたりまえ』として見ていたのですが、県外の方から見れば異質に映った様で、マンガや小説などの創作物になる際、薩摩の『武張る』文化を敏感に感じ取った作者たちは物語を面白くする為に極端な演出を加えていく事になります。
 結構そこらへんの過程というのは創作の忍者や忍術に通じるところがあり、個人的にはとても興味深いですね。

もっと『武張る』文化を観光や商品開発に活かしてみては?

 これだけ県外で面白おかしくミーム化している『薩摩』。もっと鹿児島で活用できればと思うのですが、実際は県外での成功例や一般的な催しの作り方が先行して、元々ある薩摩文化が表に出られず衰退していっている状況があります。
 1つ例に取ると、先日記事にしました鹿児島県の古武道。
 古来から薩摩に根付く流派が多く所属し、有名どころのジゲン流を始め、島津と一緒に南下してきたと言われ、躍動感のある動きが創作物のネタになりやすい某流派や、初代大警視・川路利良が逮捕術を作る為に参考にしたと言われる某流派など、県外PRやインバウンドにも利用できる様な話を持った歴史のある団体が消滅の危機にある状況です。

 鹿児島の歴史や文化はとても深く秘密結社化しているところもあり、地元の人間でも知る為に足を運ばないといけないという壁がある為、なかなか難しい面があります。
 鹿児島の文化を発信するのであればもっと突っ込んで取材を行い、その強みを県外に発信すべきではないでしょうか?
 そうする事で新しいネタを提供する事につながり、薩摩ミームに新しい広がりを作る事につながると考えています。

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)