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オリジナルゲームを作って環境保護をPR =タツノオトシゴハウスVRゲーム=

 鹿児島県南九州市頴娃町の番所鼻自然公園内にあるタツノオトシゴハウスで、2023年の大晦日から元日にかけてタツノオトシゴを主人公としたVRゲームの体験会が開催されました。

 これは2024年の干支が辰年であることから、タツノオトシゴハウス館長の加藤紳さんと鹿児島県を拠点に活動している「XR Meetup Kagoshima」のメンバーが協力して実施したものです。

なぜオリジナルゲームを作ったのか?

 タツノオトシゴハウスの代表である 加藤 紳 さんによると「タツノオトシゴハウスではタツノオトシゴの生態を通して周囲の海で起こっている磯焼けの現状や環境保護の情報発信を行っている」との事。

 その中で今年の干支の「辰」と「タツ」ノオトシゴを掛け合わせた企画を考えていたところ、鹿児島県内でVRに関する企画や体験会などを実施している XR Meetup Kagoshimaのメンバーと元々交流があったこともあり、ゲーム開発という形でコラボすることになりました。

 ちなみにXR Meetup Kagoshimaの「XR」とは、 VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)・SR(代替現実) などといった現実世界と仮想世界を融合して、新しい体験を作り出す技術の総称~『デジタルハリウッド大学』ブログ記事より~)です。

タツノオトシゴハウス代表の加藤紳さん

各地の環境団体が頭を悩ませる『磯焼け』の現状

 『磯焼け』とは海岸周辺の藻や海藻が極端に少なくなる事を言い、その場所の魚介類に深刻な影響を及ぼします。
 原因としては周辺の地域開発や海藻類を過剰に食い荒らしてしまうウニや魚類の影響など様々です。
 『磯焼け』により隠れる場所や産卵場所を失った魚介類は住む場所を追われ、その地域の自然環境に重大な悪影響を与えます。

 タツノオトシゴハウス周辺の海も原因不明の磯焼けにより、タツノオトシゴ等の生息域が狭まってきている状況です。

タツノオトシゴ

ウニやアイゴを寿司に変えてしまえ!!2丁銃のガンシューティング

シャリが飛び出す銃で、タツノオトシゴの住処を守ろう!

 大晦日から元日にかけて公開されたゲームは、タツノオトシゴの住処である海藻を食べてしまうウニやアイゴから銃を使って守ろう!というもの。

 プレイヤーは「Meta Quest 3」というVRゴーグルを頭に被り、両手にコントローラーを持ちます。するとタツノオトシゴのキャラクターから「僕たちの住処を守って!」と頼まれます。

 そしてゲームスタート。タツノオトシゴの住処となる海藻をシャリが飛び出す2丁の銃を使ってウニやアイゴから守ります。

 ランダムに出てくるウニやアイゴにシャリを当てると、ウニはウニ軍艦に。アイゴは寿司に変化し、人間が美味しく食べることでタツノオトシゴの住処が守られる…という設定です。
  
 1分間のプレイ時間内につくれたお寿司の数と守れた海藻の数がスコアに反映されるゲームです。

ゲーム動画は次のリンクをクリックして下さい。
https://twitter.com/xrm_kagoshima/status/1742524727649030426?s=20

 このゲームは鹿児島県在住のあぶちさんpeiさんを中心に7人のメンバーで制作されました。
 体験会の不定期開催とアップデートを繰り返しながら常設展示を目指していきたいとの事。また、タツノオトシゴハウスでの体験会以外にも主に近くの学校で開催される環境学習会などの海洋教育の教材としての活用も視野に入れているという話です。
 また、XR meetup 鹿児島が企画するイベントなどでも活用されるそうです。

『XRミートアップ鹿児島』 右/あぶちさん 左/鮫さん

取材後記

 XR系の技術を使って誘客につなげようとする例はいろんなところで見られます。例えばAR技術を使ってイベントのマスコットキャラクターと記念写真を撮ったりとか、メタバース空間を使って新しいコミュニティを作ろうとかしているのですが、ユーザー側で1手間2手間かかる為、なかなか利用されなかったりマニアだけの集まりになってしまっている現状があります。
 しかし、今回はゲームという事で現地ではかなり好評だった様です。

 昔、コンピューターゲームと言えば、大手メーカーが作るものだったり、PCのみで同人作品が販売されたりするものでしたが、現在では個人作品でもスマホゲームとして Google play といった大手プラットホームで販売できたり、switch などのプラットホームからインディーズゲームとしてリリースできたりする環境が整ってきました。

 今回のゲームはVR技術を使ったゲームでしたが、操作法をスマホや一般ゲーム機に寄せる事でもっと多くの方に見ていただける環境を構築できると思います。

 ゲームをインフルエンサーが実況する事でバズを狙う事ができたり、少額ながら販売や課金システムを導入する事で本来の活動の資金源にしたりと、これからのPR方法として結構良いのではないでしょうか?

タツノオトシゴハウス
 住所:鹿児島県南九州市頴娃町別府5202
 TEL:0993-38-1883
 ホームページ:http://www.seahorseways.com/html/t_house.html

▼タツノオトシゴXR体験展示
 2024年1月13日(土)
 ※タツノオトシゴハウス営業時間(10:00-16:30)に連動
 ※今後の実施予定日についてはタツノオトシゴハウスInstagramをご覧ください

XR Meetup Kagoshima(XRミートアップ鹿児島)について
 鹿児島を拠点に活動するXRコミュニティ。XRをテーマにした交流イベントやコラボ企画などに取り組む。 X(旧Twitter)にて、ハッシュタグ #XRm鹿児島 で活動を発信中。

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)