幼少から画才を発揮し南画家として活躍した「田中一村」。
50歳を過ぎてから奄美大島に移住し、亜熱帯の自然を描いた作品を数多く残すも未発表のまま69歳の生涯を終えました。
没後奄美市で遺作展が催され、それから数年後NHKで放送された特集が大反響を呼び、
現在彼の作品は奄美大島にある「田中一村記念美術館」にて収蔵・展示されています。
目次
田中一村記念美術館
奄美市笠利町にある「奄美パーク」敷地内に田中一村記念美術館はあります。
描かれた作品は80数点ずつ常設展示されており、年4回展示替えが行われます。
今回は「冬の常設展」が行われていました。
「冬」と題名につく作品や、冬をイメージさせる作品を中心に。色鮮やかな花や蝶、鳥を描いた作品が中心となり華やかな雰囲気の展示となっております。
ホームページより引用
美術館に入ってすぐに「高倉(穀物を貯蔵する倉)」をイメージした建物が目に入ります。
この中が展示室となっており、東京時代、千葉時代、奄美時代と一村の生涯を辿るように作品が展示されています。
南画家としての一村(東京時代)~30歳
彫刻家の父の影響もあり幼少から画才を発揮した一村は南画家として活躍します。
南画:中国の南宗画に由来する日本的解釈の画様。柔らかい描写で描かれる。
賛奬会が開かれるなど注目を浴びていました。
写実と旅(千葉時代)~50歳
千葉に移り住んでからは写実的な表現が増え、精巧な鳥のスケッチや絵が展示されています。
中でもふすま絵の「花と軍鶏(しゃも)」は眼光鋭い軍鶏が羽の一枚一枚まで丁寧に描かれています。
鶏冠からつま先まで凛とした佇まいに強い生命力を感じました。
それとは別に墨で描かれた軍鶏の絵もあり、黒一色なのに濃淡で質感まで表現していて圧倒されました。
集大成(奄美時代)~69歳
一村は「絵描きとして生涯最後を飾る絵を描く」ため奄美に移り住みました。
大島紬の染色工として数年働いて貯えを作っては、数年間絵に没頭するという生活を繰り返しました。
奄美で暮らした19年のうち絵に没頭できたのは半分以下の年月だったそうです。
この時期に大きなサイズの本画が沢山描かれました。
特に印象的だったのは代表作のひとつでもある「不喰芋と蘇鐵」。
亜熱帯の植物が画面いっぱいにぎゅっと入っていて情報量が多いのですが、どれもかれもが細部まで緻密に描かれています。
よく見ると重なった植物のフチを綺麗に描いているので存在感が潰れないし、はっきりとした色使いの中に濃淡のグラデーションが見事で、隅から隅まで長い間眺めていました。
画集やグッズの販売もあります。
「一村さんへの手紙」というコーナーでは誰でも彼にメッセージを残すことができ、また、誰でも読めるようになっています。
各々が田中一村の絵を見て感じたことを綴っているので、読むといろんな視点があって面白かったです。
一部抜粋してホームページ上でも読むことができます。
奄美の地で植物の実物を見ながら彼の絵に思いを馳せる時間も贅沢ではないでしょうか。
ぜひ訪れてみてください。
田中一村記念美術館 | |
住所 | 〒894-0504 鹿児島県奄美市笠利町大字節田1834 |
開館時間 | 9:00~18:00 (7月~8月は9:00~19:00) |
休館日 | 毎月第1・3水曜日(祝日の場合は翌日) |
ホームページ | https://amamipark.com/isson/ |
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