小正月の1月14日に飾られる、ナリムチ。
新年を迎え家内安全や五穀豊穣を祈る奄美大島の風物詩があります。
ナリムチ(生り餅)とは
ブブ木と呼ばれる木の枝に赤・緑・白・黄といったカラフルな餅を刺して、床の間、神棚、仏壇、墓前などに置く正月飾りの一つです。
ブブ木はリュウキュウエノキという木で、枝を切ってもすぐに伸びることから繁栄の象徴として使われています。
4色の餅が花や実(ナリ)を模している、との記載も見かけたのでそのあたりから「ナリムチ」と呼ぶのかなと想像したり。
12~13日になると商店の店頭に土台のブブ木とカラフルな餅が並びます。
枝に切った餅をくっつけて作りますが、
餅がくっついた状態のナリムチ完成品を購入する人も多いそう。
ナリムチは14日から数日間飾ります。
商店街を歩くと飾っているお店がちらほら。
色鮮やかでかわいいです。
1月18日におろしたナリムチの餅は縁起を担いでそのまま焼いたり、蒸したサツマイモと混ぜ「ひっきゃげ」として食べたりするそうです。
ひっきゃげ
「ひっきゃげ」とは何とも不思議な名前ですが、お正月を「引き揚げる」という言葉から来ているみたいです。
見た目も味も鹿児島郷土料理の”からいもねったぼ(からいも餅)”に近いです。
ねったぼは最後にきな粉をまぶしますが、ひっきゃげはきな粉無しとシンプル。
甘さも控えめです。
時期を問わずグリーンストアなどのスーパーで販売されています。
他の地域のナリムチ
ナリムチという文化を鹿児島市では見かけなかったのですが、調べると日本各地で同じような文化がありました。
岐阜県飛騨高山では花餅(はなもち)
枝に白とピンクの餅を交互に巻いていく花餅。
いろどりが何となく梅の花を想起させます。
正月飾りとして定着しており、通販サイトもありました。
長野では稲花(いねばな)
垂れたヤナギの枝に餅をつける稲花。
東日本一帯では繭玉(まゆだま)
蚕のまゆを模した丸い餅を枝の先につける繭玉。
養蚕業が盛んだったころの蚕繭豊作を願ったものが始まりのようです。
飾った餅は”どんど焼き”の際に一緒に焼いていただくそう。
どんど焼きとは飾り終えたしめ縄や門松などの正月飾りを神社などで燃やす火祭り行事。
正月に迎えた神様を煙とともに見送り一年の息災を祈る意味合いがあります。
全国的に見ても4色のカラフルなお餅を使うのは奄美だけのようでとても華やかです。
ぜひこの時期だけのナリムチ改めて楽しんでみてはいかがでしょうか。
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