5年に1度開催される「全国和牛能力共進会」。いくつかの部門に分かれ、それぞれ日本一を競います。
2022年に鹿児島で開催された「全国和牛能力共進会」では、鹿児島黒牛は9部門中6部門で1位を獲得しました。さらに、内閣総理大臣賞を受賞しました。
霧島で鹿児島黒牛を育成している「窪田畜産」。自社で育成から加工までしているそうです。農業・酪農畜産・林業・漁業などの一次産業が盛んな鹿児島ですが、特に畜産は加工や販売などを行う六次産業は難しいと言われています。
ライターの上村が、自社で育成から加工まで行う想いをお伺いしたいと思います。
牛の繁殖と肥育のどちらも行う窪田畜産
畜産業は、「肉用牛繁殖経営」と「肉用牛肥育経営」に分かれます。繁殖経営をする畜産農家は、母牛に子牛を生ませ増やしていきます。肥育経営をする農家は、市場で子牛を買い肉牛に育てます。
株式会社窪田畜産は、繁殖と肥育のどちらも行っています。黒牛を800頭ほど育てており、月に30〜40頭ほど子牛が生まれるそうです。
偶然なのですが、わたしが取材へ行ったときに子牛が生まれていました。
生まれた子牛は、一定の期間母牛と一緒に過ごし、別の場所へと移されます。そこからスタッフが定期的にミルクをあげて育てます。
本来、牛はとても繊細なので人間が近寄るとビックリして逃げてしまうのですが、生まれてまもない子牛たちは割りと人懐っこい印象でした。窪田畜産は、子牛だけで350頭育てているとのことでした。約10ヶ月ほど育てて、一部の子牛は出荷をされます。
繊細な牛にストレスを与えない環境づくり
肉用牛として出荷をするためには、約2年ほど育てないといけません。
牛のエサは、とうもろこしの実や大豆などの「濃厚飼料」と牧草や稲わらなどの「粗飼料」の2種類に分けられます。草食動物なので、牧草や稲わらが主食ですが、大きく育てるために、年齢や季節によってエサの種類や配合を変えているそうです。
窪田畜産では、黒牛が食べる牧草の生産を自社で行っています。
牛はとても繊細な生き物なので、日々の体調のチェックなどをこまめに行っているとのこと。エサが変わってしまうと体調を崩してしまう牛もいるそうですよ! 牛にストレスをかけない環境づくりも大切なのですね。
霧島の黒石岳の広大な土地で牛の飼育をしているので、このように放牧をしている牛もいます。ストレスの少ない広大な自然で育った牛は、肉が引き締まり赤身本来のコクを引き立たせるそうです!
「窪田さんの家のお肉が食べたい」の言葉から加工を実現!
「窪田さんの家のお肉が食べたい!」
そう言われることがあるそうです。でも、出荷をしてしまうとどこのお肉か分からなくなってしまいます。そうすると、自社のお肉の提供が難しくなります。
「窪田畜産で育成したお肉を食べてほしい」という想いがあり、加工を行うことに決めたと話してくださいました。冒頭でも書きましたが、肉用牛の世界での加工や販売まで行う六次化産業は難しいと言われているそうです。
「農業女子プロジェクト」という団体があります。
「農業女子プロジェクト」は、女性農業者が日々の生活や仕事、自然との関わりの中で培った知恵を様々な企業の技術・ノウハウ・アイデアなどと結びつけ、新たな商品やサービス、情報を創造し、社会に広く発信していくためのプロジェクトです。このプロジェクトを通して、農業内外の多様な企業・団体と連携し、農業で活躍する女性の姿を様々な切り口から情報発信することにより、社会全体での女性農業者の存在感を高め、併せて職業としての農業を選択する若手女性の増加を図ります。
農業女子プロジェクトとは
こちらに参加をすることで、さまざまなノウハウや情報を得て、自社での加工を実現することができたとのことです!
窪田畜産のお肉は、「鹿児島黒牛」として販売をしています。
お話をお伺いしていたら、実際に「窪田牛」を食べてみたくなりました。国分川内にある「かき小屋 匠ちゃん」で食べることができます! 早速行ってみることに。
ランチをいただきました。脂っこさがなく、女性にも食べやすいお肉です! 何より生産者の顔が見えるお肉というのは、安心感が増しますね。「窪田牛を食べているんだな」と思えることで、いのちをいただいているという感謝の気持ちも湧いてきました。
最後に、窪田畜産の今後についてお伺いしました。
鹿児島黒牛は高いというイメージから一般家庭で手が出しにくいイメージがあります。何故その価格での提供になるのかを知ってもらう必要があるかと思います。日本一を誇る鹿児島黒牛なので、もっと多くの鹿児島県民に食べて欲しいとのことでした。特に、今後の未来を担う子ども達に鹿児島黒牛の美味しさを知ってもらいたいと。
そのために、加工や販売に力を入れていきたいと話してくださいました。
鹿児島には、美味しいものがたくさんあります。それは、育ててくださっている方々がいるからこそです。そのことを多くの方に知って欲しいと思い、今回取材をさせていただきました。
窪田牛が気になる方は、是非こちらのサイトをご覧ください。
https://kyt-jyounetsu.com/smartphone/list.html?category_code=ct6
窪田畜産のホームページはこちらです。
投稿者プロフィール
- ヨガインストラクター×ライター。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクターです。その人に合ったレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、美味しいものを食べること。ライターとして鹿児島のいろいろなことをを発信していけたらと思います。
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